HOME あずまんが特集 週刊よつばと イラスト 掲示板 お知らせ リンク

へーちょの奇跡

あず特集へ戻る

大阪さんはグリンピースが大好きだった。緑の平和とか治安維持とかはいい。
とにかく大阪さんは豆類が好きだった。そしてこのグリンピースから奇跡が始まるとは まだ誰も知る由はなかった。

グリンピースというものは子供にとっては結構嫌いな部類に入ると思われる。親に無理やり食べさせられた人も多いだろう。
ここに昔の大阪さん、つまり春日歩さんの近所に住む正太という少年がいた・・・。彼もグリンピースが嫌いで毎日残してばかりいた。お仕置きとしていつも食べるまでテーブルに縛り付けられていた。正太の両親はベジタリアンでありその中でもグリーンピースは格別であった。だから、自分の息子がそれを残すことなど到底許すことはできなかったのだ。

しかし正太は決してグリンピースを食べようとしなかった。グリンピースの噛んだときの食感が一度食べた時点で嫌になってしまったからだ。正太はテーブルの上でグリンピースで遊んでいた。食べもので遊ぶということはそれほど愉快ではないだろうが、そこには皿とグリンピースしかなっかった。親がいいというまで暇を弄ぶには丁度よかったのだ。

ある日正太の両親が親戚のお葬式に行くことになった。親戚といっても名前を聞いただけでは顔も思い出せないほどでしかない。とりたてて家族全員で行く必要がないとおもった両親は正太を家に留守番させていくことにした。正太家と春日家は両親が古くの友達ということもあってかお互いの子供をよくあずかりあっていた。しかし大阪さんの両親は共働きだったので正太と大阪さんの二人でお留守番ということになった。

正太くん、今夜の夕食私が作るンやけどなんか食べたいものある?

ん・・っとね(^^)、ハンバーグステーキがいいなッ♪

えぇっ!?そんなの作れんわぁ・・・。しゃーないから全部私まかせでええね。

正太はがっかりしたが、まぁしょうがないかとあきらめた。仮にも他人の家なので そんなにわがままも言ってられなかった。子供ながらにしっかりとした正太であったのだ。台所では笑顔満点の大阪さんがさくさくと調理準備に
取り掛かっているところだった。正太はその笑顔を見ておねーちゃんに任せても大丈夫だと思った。

大阪さんの笑顔は見ていて自分までうれしくなるようだ。しかし、その笑顔の裏に隠されたとんでもない考えを
まだ幼い正太は感づくことができなかった。

その後、大阪さんは夕食作りにと専念した。大阪さんの得意料理は大阪名物たこ焼きである。正太は大阪さんのほうなど見向きもせずにテレビに夢中だった。テレビでは丁度聖戦士ダンバインがやっていた。

聖戦士ダンバイン、放映当初はかなりの低視聴率であったが、回を重ねるごとに人気が上がっていきいまや視聴率50%を上回るほどであった。正太の名前はショウ・ザマと似ていることも相成ってとてもこのアニメに夢中であった。今日はダンバインごと東京に出てしまって大騒ぎというシーンだった。とても興ざめる感じがしたが、サンライズのやりそうなことだ。

大阪さんは包丁を取ってさっそくたこを切り始めていた。正月に4000円ほどで買った酢たこがまだ冷蔵庫に残っていたのでそれを使うことにした。少しぐらい酢が利いていたほうがたこ焼きもうまくなるんとちゃうかとでも思っていたのかはまったくの謎であるが。

さて、大阪さんのうちにも例のたこ焼き焼き機があった。コマ電気で朝早く並んで500円で買ったものだ。たこよりもたこ焼き焼き機の方が安いのは大阪では当たり前である。大阪では東京の4.6倍ものたこの需要があるのだ。更にそれは現在も増加傾向にあるので驚くべきことである。

たこは5cmぐらいないと歯ごたえがなくてあかんな。などと呟きながらたこの足を切る大阪さん。酢だこの賞味期限が昨日で切れてるけどまぁ、ええな、生じゃないんやし。

賞味期限は少しぐらい切れたほうがコクが出る。

それが大阪さんの持論である。昔、しょうゆを一年ほど放置して味を見たところ味にまろやかさが生じたのが忘れられなかった。魚も燻製、干物にしたほうが味がよくなっていることからもなんとなくそういう気がしていたからである。

さぁーー、焼くぞ!

ここからがたこ焼き作りの醍醐味である。生地はなるたけ重くならないようにする。えびのすり身は必ず入れなければならない。このあたりのうんちくは一本包丁満太郎第6巻に詳しくのっているので参考にして欲しい。ビック錠氏の作品なので散々大げさに描いてある。

大阪にはたこ焼きサンバという有名な曲があるのを知っているだろうか?大阪の家庭には必ずと言っていいほどこのCDがおいてある。それがいつ購入されたのかはまったく分からない。私の記憶だと、たしかどこかで配布されていたようだ。

BGMスタート。ちゃんちゃん・・・大阪来たならよっといで〜♪たこ焼きたこ焼き焼き。大阪城は小学生無料だよ。中学生も無料だよ。たこを焼いたら中身はハフハフ食べちゃうよ・・アハ〜ン♪

何がアハ〜ン♪なのか分からないが、さすが大阪である。恐るべし。